今回は、石の生き死にについて見ていきましょう。
前回の棋譜の続きから、「死活問題」について考えていきたいと思います。
是非、碁盤に並べながら考えてみて下さいね。
どのようにして「死活問題」になるのか
「死活問題」とは、石を取ったり取られたりする戦いのことで、囲碁のとても重要な分野です。
「石が取れている(取られている)状態とは何なのか?」などについて、順を追って解説していきます。
ゆっくり学んでいきましょうね。
上が前回解説した「9路盤の棋譜」です。
白28までで「陣地の境い目」が決まり、お互いに打つ場所がないということで「パス」をして終局になりました。
こういう状況ですね。
黒29手目で「パス」をし、白30手目で「パス」をして「終局」になるのです。
しかし、
黒が29手目で「パス」をしたときに、次の白は好きなところに打つ事もできますね。
今回は、
白1と入ってきた場合を考えていきましょう。(棋譜でいうと白30になりますが、見やすくするために白1として見ていきましょう。)
白1は、黒地の中に侵入してきた手です。
こういったところから「死活問題」に発展していきます。
侵入してきた白をやっつける方法
侵入してきたこの白は、
イメージとしては、このように陣地を作ろうとしています。
そして、白1に対して黒が思うことは、
「自分の陣地に入ってきた白1を、囲んで取りたい!」
です。
自分の陣地かな、と思っていた場所に相手が入ってきたら、このように思ってくださいね。
そう思ったうえで白1を取る事ができたら、「白の無理な手を咎めて、自分の陣地を守ることができた」ということになります。
ということで、取り方を見ていきましょう!
石を取るコツ①:相手がどこに打って陣地を広げようとしているのか?を考える
石を取る時以外にも言える、囲碁全般に当てはまるコツなのですが、
「相手の打ちたい場所を探す」ということが大事です。
さっそく、白1の気持ちになって考えてみますね。
白1はこのように、次に白△と進んで陣地を拡大しようとしているのです。
今は「そうなんだ~」と思っていただければ十分です。
また、あとで分かってきますが、相手の陣地を狭くしていくと相手の石を取りやすくなります。
今回覚えてほしいのはこの一点だけです。
相手の石を取りたいと思ったら、できるだけ陣地を狭めていきましょう。
ということで、白1に対する黒の手は、
黒2です◎
白1の陣地が広がらないようにしつつ、隅に追い込んで囲んでいますね。
OKでしょうか。
では、
白3と打ってきたらどうしますか?
この手は左方向に進もうとしていますね。
石を取るコツ②:相手の石を閉じ込める(封鎖する)
白が出ていかないように黒4と打って、閉じ込めましょう◎
白を隅に追い込みつつ、
白一子を「アタリ」にしています。(ご確認ください。)
対する白は、白5とつなぐことになります。
このあと、
×の場所が黒の弱点です。(白に×の場所を打たれると、黒がアタリになってしまう事を想像してみて下さい。)
ということで、黒石が取られないようにするために、
黒6とつなぎます◎
これで、白は左へ進めなくなりました。
隅に閉じ込めることができたのです。(「封鎖」といいます。)
さて、
この「封鎖」が完了してからが「死活問題」です。
「白を取れるのか?」「取れないのか?」という話になっていきます。
続きをやっていきますね。
石を取るコツ③:相手の石を一眼にする
白7と打ったとしましょう。
白7は、青丸の場所を囲んだ手ですね。
結論から言いますと、
「黒は、最終的にこの白一団を取る事ができます。」
どういうことなのかをやっていきます。
黒と白の境目は、この緑のエリアですね。
ここを、黒と白で交互に埋めていきいましょう。
たとえば、黒8、白9です。
これで、黒と白の境目がきっちりしました。
この時の、隅の白一団をよーく見てみてください。
どうでしょう。
白が「アタリ」になっていませんか?
石数が多くて分かりづらいですが、
黒10と打つと、白×を全て取る事ができます。
是非、碁盤に並べてご確認ください。
こういう状況になります◎
OKでしょうか。
黒大成功ですね。
ここから我々はどのようなことが学べるのかというと、
「陣地が一つしかない石は、最終的にアタリになる」ということです。
そして、「一部屋しかない陣地」のことを「一眼」と言います。(「部屋」という表現については、また次回解説します。)
とりあえず、上の図の白は、青丸の「一眼」しかなく、最終的に取られてしまうのですね。
まとめ
さかのぼりますと、
黒が囲んでいる陣地の中に、白1などと侵入する手は無理な手なのです。
黒の立場で言うと、
黒2~10と打って、狭めて封鎖していくと、白を取る事ができるのでした。
仕組みとしては「白の陣地が一部屋(一眼)」しかないから取れるのですね。
是非、黒2~10までの手順を、碁盤に並べて確かめてみて下さい。
では、どうもありがとうございました!
次回は「眼(め)」について解説していきますね。
どうぞよろしくお願いします。
※続けて次の記事も見たい方はこちら:
【秀哉の囲碁入門⑬】死活について(2)「眼とは何か?」