今回は「アゲハマ」と「整地」について学んでいきましょう。
アゲハマとは、対局中に取った石のことで、対局している間は碁笥のフタに入れておき、陣地を数える「整地」の時に、相手の陣地に埋めることができます。
対局していくうえで大事なルールですので、しっかりと確認しておきましょう!
ルールをひと目で確認する場合はこちら:
囲碁のルール(PDF)
アゲハマとは?
これまで、「石の取り方」や「陣地の囲み方」を学んできましたが、その際にとても大事な要素があります。
それは、「取った石は一体どうなるのか?」ということです。
・取った石=アゲハマ
・アゲハマは、対局中は碁笥(ごけ)のフタに入れておく
・陣地を数える「整地」の時に、アゲハマを相手の陣地に埋める
これが取った石(アゲハマ)の一連の流れです。
実際にどのようになるのかを、具体的に見ていきましょう。
取った石(アゲハマ)を碁笥のフタに入れる
たとえば、下のような図があったとします。
ここで黒番で、白を取れるところがあるのですが、どこでしょうか?
探してみて下さいね。
正解は…
黒1です。
ここに打つことで、白二子を取る事ができますね。
実際の碁盤の写真で見ていきましょう。
黒が中央の白二子を囲んだ状況です。
白二子を取れていますね。
このあと、黒の人が…
このように手で白二子を取り、
このようにフタへ運びます。
フタに入っている白二子が「アゲハマ」なのですね。
※豆知識
碁石の白は「ハマグリ」でできていて、それをフタに上げるので「アゲハマ」という名前になりました。(黒石は那智黒という石でできていますが、黒石が取られた時も「アゲハマ」です。)
「アゲハマ」は陣地を数える時に相手の陣地に埋める
さて、アゲハマは一体どうなるのでしょうか。
盤面をよく見ると、お互いの陣地が決まって「終局」の状況です。
白番でしたから、
白の人が「パス」をして、黒の人も「パス」をしたら、陣地を数えて結果を出すという段階に入っていきます。
お互いに「打つ場所がないよ」という同意をして、陣地を数えます。その時に「アゲハマ」が活躍するのです。
アゲハマを手に取り、白の陣地を埋めます。
たとえばこんな感じです。(埋める場所はどこでもOK!)
こういう状況になりますね。
そして、アゲハマを埋めたおかげで白の陣地が減りました。
石を取ると、このように相手の陣地を減らすことができるので、とてもお得なのです。
では、陣地を数えてみましょう!
陣地を数えやすくする「整地」
是非、この形を碁盤に並べて一緒にやっていきましょう。
この点がお互いの陣地で、一つずつ数えていくと、
黒地…31目
白地…23目+6目半(コミ)=29目半
となって、黒の1目半勝ちになります。
正しい結果が出るので、陣地を1目ずつ数えていっても良いのですが、ちょっと大変でしたね。
ここで、「整地」というテクニックを使うと計算がしやすくなります。
どうやるのかというと…
石を移動します。
こわいような気もしますが、黒地の中の石を黒地の中で移動する分には、陣地は変わらないのです。
黒×を移動してみますね。
こんな感じでごっそり動かしてみます。
すると…
こうなります。
陣地が四角形になったので、掛け算で数字を出せます。
右上の黒地は、5×6=30目
右下の黒地は、1目
ですので、合計して31目です。
先ほど数えた時と、結果は変わっていませんね。
白地もやってみます。
白×を動かしてみますね。
たとえば…
こんな感じです。
こうすることによって、
掛け算で陣地を出すことができます。
左上の白地は、3×7-1=20目
左下の白地は、3目
ですので、合計して23目です。
白番の場合は「コミ6目半」が足されて、29目半ですね。
これも、先ほどと結果は変わっていません。
このように整地をすることで、相手に陣地を伝えやすくなります。(アゲハマを埋める関係上、お互いに相手の陣地を数えます。)
OKでしょうか。
まとめ
今回の内容をまとめますね。
・取った石は「アゲハマ」として、碁笥のフタに入れておく
・アゲハマは、終局して陣地を数える時に相手の陣地に埋める⇒相手の陣地が減る!
・陣地を数える時に、石を動かして数えやすくする(整地)
「整地」がなかなか難しいですが、慣れてくるとパズルののようで面白いですよ。
では、最後まで読んで下さりありがとうございました!
次回は「死に石」について解説しますね。
どうぞよろしくお願いします。
※続けて次の記事も見たい方はこちら:
【秀哉の囲碁入門⑮】「死に石」とは?