今回は、囲碁の「アタリ」について解説します。「囲んで石を取る」というのは囲碁の大事なルールで、石を取る一歩手前の事を「アタリ」と言います。
・どのような状況のことなのか?
・アタリのコツは?
・石を取られないためには?
などについて見ていきましょう。
アタリとは?
囲碁のルールの中に「囲むと相手の石を取れる」というものがありましたね。
※囲碁の4つのルールを確認しましょう。
相手の石を囲むと取れる
「石を取る」というのはどういう状況なのでしょうか。
白があったとして、この石からは、
このように線が出ています。「逃げ道がある」という風に考えるとわかりやすいです。
そして、黒がこの線を全てふさぐと、この白を取る事ができるのです。
こんな感じです。白から出ている線を全てふさいでいますね。
そうすると、
白を盤上から取り上げて、このようになります。(取り上げた石は、碁笥のふたに入れて「アゲハマ」になります。)
黒の陣地が増えるだけでなく、陣地を計算するときに「アゲハマ」を相手の陣地に埋めることができるので、石を取るというのは得なことなのです。
石を取れる状況の一歩手前が「アタリ」
「次に取りますよ」という状況の事を「アタリ」と言います。
たとえば…
こういう状況がアタリです。一つの白がアタリになっているので、「白一子(しろいっし)がアタリになっている」などと表現します。
あと一手黒が打てば、白を取る事ができますね。
黒1と打つと、白一子を取る事ができます。
OKでしょうか。
こういうことですので、
この状況も白一子がアタリですし、
この状況もアタリです。
これもそうですね。
一つの石に対して、色々なアタリの仕方があるということもポイントなのです。
アタリから逃げる
さて、
この図は白がアタリの状況で、もしも次が黒番でしたら、
黒1で、白一子を取る事ができます。
では今度は、
この図で白番でしたらどうでしょうか。
白としては、自分の石が取られないようにしたいですね。
囲碁の大事な格言として「相手の急所は我が急所」というものがあります。
相手が打ちたそうな場所に打つと良いですよ、という言い伝えです。
ということですので白は、黒が打ちたい所に打つと良いのです。
白1が良い手になります。
ここに打てば、
このように逃げ道が増えて、白が取られなくなるのです。
アタリになっている石が取られないように打つ事を「アタリから逃げる」と言います。白1はアタリから逃げたのですね。
また、
このような状況から、
黒1と打って白をアタリの状態にすることを、
・アタリにする
・アタリをかける
・アテる
などと言います。
この図の黒1も白を「アテ」ているのですね。
そして、対する白が取られないためには、
白2と打って「アタリから逃げる」ということになります。
どうでしょうか。
・石を取る(取られる)一歩手前のことを「アタリ」という
・取られないように対応することを「アタリから逃げる」という
この2点が今日のポイントです。
また、今後解説していきますが、「アタリの仕方」が戦略的にとても重要です。
最後に「アタリのコツ」をひとつご紹介しますね。
アタリのコツ~隅に追いやる~
アタリのコツのひとつとして、「相手の石を隅に追いやる」というものがあります。
囲碁は端っこの石が取りやすい(取られやすい)
下の図をご覧ください。
この図は、白A、白B、白Cをそれぞれ黒が囲んで取っている状況ですね。
・白A⇒隅
・白B⇒辺
・白C⇒中央
というように場所が違います。
そして、「取るためにかかった石数」も違いますね。
ご覧のように隅の石は、非常に取りやすい(取られやすい)のです。
このことから、相手の石を隅に追いやるようにアタリをかけると良いということになります。
相手を隅に追い込むアタリ
では、具体的に見ていきましょう。
このような形で黒番だったとします。
白一子を取りたいと思い、アタリするのですが、「白を隅に追いやる」という考えでアタリをするとうまくいきます。
どこに打つのかというと…
黒1です◎
白を碁盤の端に追いつめる感じで、アタリにしていますね。
このようにアタリをかければ、
白が2と逃げても、
白の逃げ道はふたつしかありません。
次は黒の番になりますので、またアタリをかけることができます。
黒3と打つと、白二子がアタリですね。(黒3では、右側からアタリをしてもOKです。)
白4とアタリから逃げても…
黒5で、白三子を取る事ができます◎
こういう状況になりますので、黒大成功ですね。
もう一度手順をまとめて表現しますと、
黒1~黒5で、白を取る事ができました。ということになります。
碁盤をお持ちでしたら、是非並べて確認してみて下さい。
尚、黒1で、
反対側からアタリをしてしまうと、白2と広い方に逃げていってしまいます。
こうなると白の逃げ道が増えて、取りづらくなってしまうのですね。
相手を隅に追いやる、というアテ方が大事という話でした。
OKでしょうか。
今回は「アタリ」のルールとコツについて解説いたしました。
次回は「石を取る技(手筋)」についてお話ししますので、お楽しみに。
では、読んで下さりありがとうございました!
※続けて次の記事も見たい方はこちら:
【秀哉の囲碁入門④】石を取る手筋~両アタリ~